Porst Color Reflex MC Auto 55mm f1.2
 

Lens Data

Lens Unit

Lens Photo


レンズ構成 6群7枚(分離型変形ダブルガウス型)
最短撮影距離 約50cm
発売 1970年代
重量 約319g



Lens Impression

「PORST (ポルスト)」は、1919年にワーグナーのマイスタージンガーで有名なドイツのニュルンベルクで創業しました。創業者はHanns Porst (ハンス・ポルスト1896-1984) でもともと市の事務系の役人だった人物です。小さな写真店からスタートし、創業6年目の1925年には通信販売方式を導入して成功しています。この販売は現在も続いており、現在のWEBページには同社創立100周年を謳ったロゴが掲げられています。 
https://www.photo-porst.de/

このレンズがどのような経緯でPorstブランドで製造販売されたのかは不明ですが、長年にわたって富岡光学製か、それとも設計だけ富岡光学で実際の製造は別会社か、などの議論を呼んでいるレンズです。
@コーティングの色が全く異なること、Aオリジナルのトミノンにはレンズ最後部の光学系後群の一部切削があるのに、このレンズにはない、Bやや軽量、などがそれらの原因になっているのでしょうか?

富岡光学OEMと目されている55mm f1.2のレンズには大きく分けて2つのグループがあります。一つは、Auto Yashinon/Auto Chinon/Auto Cosinon /Auto RevuenonなどのオリジナルTominonとオレンジコーティングや後部形状がほぼ同一のレンズ群、もう一つが、PORST COLOR REFLEX MC AUTO/ YASHICA LENS ML/ AUTO YASHINON DS-M、などコーティング色が多彩でレンズ後部の切削がなくやや軽いレンズ群です。

先日オリジナルTominonをHPに加えましたが、今回は第2のグループからの代表となります。まずは基本データを比べてみましょう。

  Tominon 55mm f1.2     PORST COLOR 55mmf1.2 
レンズ構成       6群7枚 6群7枚
重量  338g 319g 
前玉直径 47.3mm 47.1mm 
後玉直径 35.6mm 34.1mm 
前玉曲率(D) 10.1 10.1 
後玉曲率(D) 6.2mm 6.2 

非常に似かよったデータになっておりますが、後玉の大きさ、重要などから、第一グループと第二グループでは一部設計の変更は行なわれているでしょう。ただ、それだけではどこで製造されたかどうかは特定できません。どれも決定打にはなりませんが、同一日時場所で撮影した画像の細部を見てみましょう。

Tominon 55mm f1.2       PORST COLOR 55mmf1.2  Tominon 55mm f1.2      PORST COLOR 55mmf1.2 

両レンズの細部を比べてみると、ほぼ同一と言ってよいほどに近似した描写・ボケ味になっています。個人的な感想ですが、同じ設計内容でも製造工場が異なっていれば、描写がここまで類似することはなかなか難しいのではないでしょうか?別サイトの記事では絞り調整機構の構造もよく似ているという検証もあり、現時点では第二の部ループの富岡光学で製造された可能性が高いのではないかと思います。

 Photos with Porst 55mm f1.2
 
2019
Roppongi,Shibuya
(六本木、渋谷)
第一印象は、とても濃い写りをするレンズだということです。開放ではピント部分のハイライトにもきれいな滲みが入りますが、そこからボケに向かって「トロっとした」描写が続いていきます。
カラーフィルムで撮影した場合のサービスサイズでのプリントでもとても印象的な仕上がりになったのではないでしょうか。
 
 
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